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15- I- 0079 201 6 年 3 月 1 4 日
株式会社日本格付研究所(J C R)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
メ
キ
シ
コ
合衆国
(証券コード:−)【据置】
外貨建長期発行体格付 A−
格付の見通し 安定的
自国通貨建長期発行体格付 A+
格付の見通し 安定的
債券格付 A−
■ 格付事由
(1) 格付は、北米自由貿易協定( NA F T A )のもとで発展を続ける自動車産業などの堅固な輸出基盤、財政規 律の堅持、為替変動に対する耐性、エネルギー分野などでの大胆な構造改革の進展を評価している。他方、 格付は、巨額で揺れの激しい海外からの証券投資流入、油価の変動に影響を受ける財政構造、金融システ ムの過小な規模や既得権益層・非正規部門の存在といった成長を妨げる要因に制約されている。格付の見 通しは安定的である。メキシコ経済は、足元、油価下落や米国の利上げの影響を受けている。14 年度に GDP 比7. 1%であった公的部門の石油関連収入は、15 年度には同 4. 6%へと大きく減少。非居住者による 対内証券投資も 15年には前年比 57%減と急減し、通貨ペソの対米ドル為替レートは、16年 2月までに 15 年初以来 3 割近く減価した。これに対し当局は、歳出削減による財政規律の維持や、機動的な金融政 策の実施と一定の為替介入により対応。非居住者による対内証券投資が四半期ベースでみて純流出となる 事態は回避されている。また、過去の危機の教訓から、政府・民間部門共に為替変動に対する相応の耐性 を有しており、金融システムの健全性も維持されている。堅調な米国経済に牽引され、15 年には自動車 の生産・輸出台数が過去最高を記録。経済は 3%弱の緩やかな成長を続けている。なお、今般、メキシコ のカントリーシーリングを「A +」に据え置いた。
(2) メキシコは、人口 1. 2 億人、名目 GDP 約 1. 3 兆米ドル、一人当たり GDP 約 1 万米ドル強(14 年時点)。 NA F T A のもとで外国からの直接投資を積極的に受け入れており、自動車や家電製品などの堅固な輸出基 盤を擁する。輸出額はGDP の 3 割強に達しており、品目の 9 割弱を工業製品が、また輸出先の 8 割強を 米国が占める。なかでも自動車産業が近年大きく成長しており、15 年には、自動車の国内生産台数は 340 万台(世界第 7 位)、輸出台数は 276 万台(同第 4 位)に達した。GDP に占める石油・ガスなどの鉱業の 比率は 15 年時点で 6.7%まで低下。堅調な米国に牽引され緩やかな経済成長を続けており、15 年の実質 GDP 成長率は 2. 5%と 14 年の 2. 3%を上回った。12 年 12 月に発足したエンリケ・ペニャ・ニエト政権は、 エネルギーや金融・通信・教育など広範囲な分野で、大胆な構造改革を推し進めている。エネルギー部門 では、油田開発・生産(上流)に加え石油精製・販売(下流)や発電といった部門においても、これまで の国営会社による独占から、外資を含む民間企業への開放を進めている。既に、憲法改正(13 年)、関連 二次法の公布(14年)を経て、15年には 3回の鉱区入札が実施されるなど、着実に進展している。燃料 や電力等のエネルギー小売価格も、自由化が視野に入っており、15 年には一部の価格引下げも実施され た。多岐にわたる分野での構造改革が効果を上げ、成長の底上げをもたらすには、既得権益層からの巻き 返しを回避しつつ着実な実施が求められる。エネルギーコストの低下や、競争的な経済環境の実現、非正 規部門の正規化などが着実に進めば、現在 3%程度とみられる潜在成長率を高める可能性を有する。 (3) メキシコの財政は、非石油関連の税収水準が低く、石油関連収入への依存度が高いため、国内の産油量と
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連収入の安定化により、財政上の石油収入への依存や油価変動の影響を逓減させる枠組みの構築に努めて き た 。 同 時 に 、 よ り 透 明 性 の 高 い 財 政 ル ー ル も 制 定 。 最 も 広 義 の 財 政 赤 字 で あ る 公 的 部 門 借 入 必 要 額 (PSBR)の GDP 比を毎年 0. 5%ずつ低下させ、18年度(会計年度は暦年)以降は 2. 5%とする目標を掲 げている。15 年度には、油価急落を受け、公的部門の石油関連収入が14 年度のGDP 比7. 1%から 15 年 度には同 4. 6%へと減少したが、原油価格の先物ヘッジ収入(原油輸出相当分を予算上の想定である 79 米 ドル/ バレルでヘッジ)もあり、非石油関連収入が14 年度の GDP比 16. 0%から 15 年度には同18.8%へ と拡大。歳出面でも緊縮的な財政スタンスを維持してきた結果、PSBR の GDP比は 14年度の 4. 6%から 15 年度には 4. 1%に縮小した。16 年度予算では、50 米ドル/ バレルの原油価格を想定し、これまでと同様 に原油輸出相当分について先物契約で油価の変動に対するヘッジをかける一方、インフラや油田開発等に 対する歳出を削減。従前からの目標である PSBR の GDP 比 3. 5%を堅持するなど、財政規律の維持に努め ている。なお、公的債務は 15 年末時点でGDP比 45%と管理可能な水準にあり、また、その約7 割をペ ソ建てが占めている。
(4) 対外面をみると、経常収支は、所得収支の赤字幅が大きく、小幅な赤字が続いている。15 年の経常収支 赤字は、油価下落に伴う原油輸出額の急減を受けた貿易赤字の拡大を主因に、GDP 比 3%程度まで拡大し た。もっとも先行きは、米国向け工業製品輸出の増加や労働者送金の安定した流入が見込まれ、石油製品 輸入額がタイムラグを伴って減少することを織り込むと、赤字幅は抑制された水準にとどまるとみられる。 金融収支は、同国は資本取引の自由度が高いため、世界的な資金フローの変化の影響を受けやすい。リー マンショック以後の米国の非伝統的金融政策の下で、高水準の対内証券投資流入が続き、14 年末時点で は、非居住者による対内証券投資残高が GDP比 37%に、また非居住者によるペソ建て国債の保有割合は 38%に達していた。15 年に入ると、米国の金融政策正常化に向けた動きや新興国経済不安などの影響を 受け、資本流入額が大きく減少。通貨ペソの対米ドル為替相場は、16 年 2 月には 19. 2 ペソ/ 米ドルと史上 最安値を更新し、15 年初からの減価幅は 29%に達した。中銀は、柔軟な為替相場とインフレターゲット という金融・為替政策の原則を堅持しつつも、一定水準の為替介入や、利上げを含む機動的な金融政策に より対応している。外貨準備は、15 年には継続的な為替介入の結果減少したものの、依然として 1, 776 億 米ドル(15 年末時点)有しており、これは同年 9 月末時点の短期対外債務の 3. 5 倍に相当する。これに加 えて、国際通貨基金(IMF )のフレキシブル・クレジットラインによる信用枠も 473 億 SDR(約 653 億米 ドル)設定されている。外貨建借入については、そもそも個人による外貨建口座の開設すら原則として認 められておらず、企業による外貨借入も限定的である。民間部門の対外債務残高は GDP 比 22%(14 年末 時点)と低い。
(5) 銀行システムは、足元でのペソの大幅な減価にもかかわらず、総じて安定性・健全性を維持している。銀 行部門の不良債権比率は 14 年末の 3. 1%から 15 年末には 2. 6%へ低下。15 年末時点の自己資本比率は 15. 4%であった。同国では、民間向け与信残高がGDP 比 31%(14 年末時点)と低く、金融仲介機能の強 化が長年の課題であった。政府は、銀行間の競争促進や、担保・保証実行にかかる法的枠組みの透明性確 保などを通じ、貸出促進に努めており、15 年には銀行による与信残高も伸び始めている。他方、中銀は、 主に海外からの資金フロー対策の観点から、15 年12 月より、緩やかながらも政策金利の引上げを図って いる。銀行部門は、与信の拡大を進める一方で、為替減価や金利上昇といったマクロ経済環境の変化にも 直面しており、J C R は、貸出債権の質について一定の留意を払っていく。
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■ 格付対象
発行体:メキシコ合衆国(United Mexic an S tates) 【据置】
対象 格付 見通し
外貨建長期発行体格付 A- 安定的
自国通貨建長期発行体格付 A+ 安定的
対象 発行額 発行日 償還期日 利率 格付
第 14 回円貨債券(2012) 300 億円 2012 年 6 月 8 日 2017 年 6 月 8 日 1. 56% A- 第 15 回円貨債券(2013) 486 億円 2013 年 8 月 8 日 2016 年 8 月 8 日 1. 16% A- 第 16 回円貨債券(2013) 150 億円 2013 年 8 月 8 日 2018 年 8 月 8 日 1. 39% A- 第 17 回円貨債券(2013) 170 億円 2013 年 8 月 8 日 2019 年 8 月 8 日 1. 54% A- 第 18 回円貨債券(2014) 338 億円 2014 年 7 月 24 日 2019 年 7 月 24 日 0. 80% A- 第 19 回円貨債券(2014) 139 億円 2014 年 7 月 24 日 2024 年 7 月 24 日 1. 44% A- 第 20 回円貨債券(2014) 123 億円 2014 年 7 月 24 日 2034 年 7 月 24 日 2. 57% A-
格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2016 年 3 月 9 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本 幸一
主任格付アナリスト:仲川 聡
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、J C R のホームページ(http:/ / www. jcr. co. jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本 件 信 用 格 付の 付 与 にか か る方 法 の 概 要 は、 J C R の ホ ー ムペ ー ジ ( http:/ / www. jcr. co. jp) の 「 格 付 方針 等 」 に 、
「ソブリン・準ソブリンの信用格付方法」(2014 年 11 月 7 日)として掲載している。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) メキシコ合衆国(United Mexican States)
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての J C R の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、J C R が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した経済・財政運営方針などに関する資料および説明
・ 経済・財政動向などに関し中立的な機関が公表した統計・報告
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
J C R は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、当該方針が求める要件
を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. J C R に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C R は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C R に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NR S R O 登録状況
J C R は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating O rganization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ
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7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示はJ C Rのホームページの“ Rating Information” (http: / / www. jcr. co. jp/ english/ top_cont/ rat_info01. php) に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■本件に関するお問い合わせ先